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私たちは、毎日当たり前のように世界を眺めています。
家があり、道路があり、街があり、国がある。
地図には国境が引かれ、土地には所有者がいて、人間がこの世界を管理しているように見えます。
けれども、もし私たちの目に見えないほど小さな存在から地球を眺めたら、世界はまったく違う姿をしているのかもしれません。
そんな想像を、科学の知識と物語で楽しませてくれそうな一冊があります。
武村政春さんの『微生物になった博士の記録』です。
ある朝、博士たちが微生物になったら
この本の設定は、なかなか大胆です。
6人の博士が、それぞれ異なる微生物に変身してしまうのです。
ブドウ球菌、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、巨大ウイルスの一種であるミミウイルス、アメーバ、そして細菌に感染するバクテリオファージ。
出版社の紹介によれば、本書はこうした博士たちの体験を通して、微生物の世界を描く生命科学ファンタジーです。
難しい専門用語から入るのではなく、「もし自分がその存在になったら」という想像から科学に近づけるところが、面白い発想です。
人間にとっての悪者は、世界にとっても悪者なのか
細菌やウイルスと聞くと、病気や感染症を連想する人は少なくないでしょう。
もちろん、人間の健康を脅かすものが存在するのは事実です。
しかし、微生物をすべて一括りにして悪者と考えるのは正確ではありません。
私たちの体には多くの微生物が存在し、その一部は健康や生命活動と深く関わっています。
人間から見れば厄介な存在でも、その生物自身が人間を困らせようと考えているわけではありません。
そもそも自然界は、人間に都合よくできているわけではないのでしょう。
見えないからといって、存在しないわけではない
私たちは、目に見えるものを中心に物事を考えがちです。
大きな建物、広い海、遠くの山。
けれども、目に見えないほど小さな世界でも、複雑な出来事が絶えず起きています。
例えば、バクテリオファージは細菌に感染するウイルスの総称です。
人間に直接感染するウイルスばかりが注目されますが、ウイルスと細菌の間にも独自の関係があります。
博士たちが微生物に変身するという物語は、そんな世界を別の角度から想像するための仕掛けなのかもしれません。
世界の中心を、少しだけ譲ってみる
人間にとって便利な世界が、ほかの生物にとっても同じように便利とは限りません。
人間が引いた国境も、土地の所有権も、微生物にとっては意味を持たないでしょう。
私たちが世界の主人公だと思っているのは、単に人間の目線で物事を見ているからなのかもしれません。
もちろん、ここで述べたことは本を全編読んだ感想ではなく、出版社が公開している紹介情報をきっかけに考えたことです。
それでも、普段とは違う目線で地球を想像するきっかけとして、興味を引かれる一冊です。
書籍情報
『微生物になった博士の記録』
著者:武村政春
出版社:集英社インターナショナル
発売日:2026年10月5日頃
ページ数:272ページ
ISBN:9784797674880
参考価格:2,200円(税込)
著者の武村政春さんは、東京理科大学の教授で、巨大ウイルス学や分子生物学などを専門としています。
参考資料
集英社・書籍紹介
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-7976-7488-0
東京理科大学・著作紹介
https://www.tus.ac.jp/today/archive/20260908_4192.html
※この記事は公開されている書籍情報をもとに構成しています。書籍全編を読んだレビューではありません。
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