国税庁から「還付金のお知らせ」が届いたら? 巧妙になる詐欺メールと、私たちが忘れたくない確認の習慣

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スマートフォンに、一通のメールが届く。

差出人には「国税庁」や「e-Tax」の文字。

内容を読むと、税金の還付金があるという。あるいは、未納の税金について早急に確認するよう求められている。

もし本当に還付金があるなら、少しうれしい。反対に、税金を納め忘れていると言われれば、不安になる。

そんな人間の自然な気持ちを利用するのが、今回取り上げる詐欺メールです。

2026年10月28日、Xでは国税庁を装った不審なメールについて、実際に受信したという投稿が見られました。

さらに気になるのは、単に偽のホームページへ誘導するだけでなく、Androidスマートフォンに偽のe-Taxアプリをインストールさせようとする手口まで報告されていることです。

税金という、誰にとっても無関係ではいられない制度が、詐欺の入口として悪用されています。

### 国税庁が実際に注意を呼びかけている

国税庁のe-Tax公式サイトには、「不審なショートメッセージやメールにご注意ください」という案内が掲載されています。

そこでは、税務署からの通知に似せたメールや、未払い税金を理由に支払いを迫る不審な連絡について説明されています。

特に注意したいのは、差出人の名前やメールアドレスの表示まで、本物に似せている場合があることです。

画面に「国税庁」と表示されているからといって、本当に国税庁から送られてきたとは限りません。

国税庁は、ショートメッセージで案内を送信していないことや、メールで滞納金額を直接知らせたり、差押えを予告したりすることはないと説明しています。

また、e-Taxの正規の通知メールは、登録された利用者に対してメッセージボックスへの情報格納などを知らせるものであり、メールに書かれたリンクを安易に開かず、公式サイトから確認するよう呼びかけています。e-Tax +1

参考:[e-Tax公式サイト|不審なショートメッセージやメールにご注意ください](https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/2022/topics_20220815.htm?utm_source=chatgpt.com)

### 今度は偽の「e-Taxアプリ」まで登場

今回、もう一つ気になるのが、スマートフォンのアプリを利用した手口です。

セキュリティ関連企業のキヤノンITソリューションズは、2026年9月30日時点で、国税庁をかたってAndroid向けの不正アプリをインストールさせようとするフィッシングメールを確認したと発表しています。

その文面には、税金の還付、税務署からの通知、メッセージボックスの確認依頼など、さまざまな種類があるといいます。

同社は当時、スマートフォン用のe-Taxアプリは提供されていないとして、メールから誘導されたアプリをインストールしないよう警告しました。サイバーセキュリティ情報局 +1

ここで厄介なのは、利用者が「税務手続きのために必要なアプリなのだろう」と思い込んでしまう可能性があることです。

スマートフォンで行政手続きができること自体は、便利な時代になった証拠です。

しかし、その便利さを逆手に取って、偽物のアプリを本物だと思わせようとする人々もいます。

私たちは、便利な仕組みが増えるほど、それが本物かどうかを確かめる必要にも迫られているのかもしれません。

### なぜ「還付金」という言葉に心が動くのか

税金を納めることには慣れていても、税金が戻ってくるという知らせには、少し特別な響きがあります。

物価が上がり、毎日の買い物や光熱費の負担が気になる暮らしのなかで、思いがけずお金が戻ってくると聞けば、確認したくなるのも無理はありません。

一方で、「未納税金」「差押え」「至急対応」といった言葉には、人を急がせる力があります。

お金が戻ってくるという期待と、支払わなければ大変なことになるという不安。

詐欺メールは、この正反対の感情を巧みに使い分けているように見えます。

しかも、国税庁という公的機関の名前が添えられていれば、普段なら疑うような案内でも、信用してしまうかもしれません。

だからこそ、詐欺への対策は、単に「怪しいメールに気をつけましょう」という呼びかけだけでは十分ではないように思います。

人がなぜそのメールを信じたくなるのか。

そこまで考えることが、被害を防ぐためには大切なのではないでしょうか。

### 本物かどうか迷ったときにできること

では、国税庁を名乗るメールが届いた場合、どうすればよいのでしょうか。

大切なのは、メールに書かれている指示に従う前に、別の方法で確認することです。

* メール内のリンクや添付ファイルを安易に開かない。

* メールから案内されたアプリをインストールしない。

* e-Taxの通知が気になる場合は、検索結果の広告やメールのリンクではなく、自分で確認した公式サイトからログインする。

* 税金の未納や還付金について不安があれば、税務署などの正規の窓口に確認する。

* 個人情報やクレジットカード情報を入力してしまった場合は、関係する金融機関などに速やかに相談する。

国税庁の公式サイトでも、心当たりのある通知であっても、メール内のリンクをそのまま利用せず、e-Taxの公式ページから確認するよう案内しています。e-Tax +1

大事なのは、すべてのメールを疑い続けることではありません。

メールを信用するかどうかと、内容を確認するかどうかを分けて考えることです。

たとえ本当に税務署からのお知らせが届いていたとしても、公式サイトから確認すればよいのです。

### 行政のデジタル化と、利用する人の安心

ここで少し考えたいことがあります。

行政手続きのデジタル化は、私たちの暮らしを便利にするために進められてきました。

以前なら税務署に足を運ばなければならなかった手続きも、今では自宅のパソコンやスマートフォンから行えるものが増えています。

それは歓迎すべき変化です。

しかし、便利になった仕組みを誰もが安心して利用できるかどうかは、また別の問題です。

デジタル機器に慣れていない人だけが詐欺に遭うわけではありません。

普段からスマートフォンを使いこなしている人でも、忙しいときや疲れているときには、確認を省いてしまうことがあるでしょう。

公的機関の名前を使った詐欺が繰り返されるのであれば、行政側にも、正規の連絡方法を分かりやすく伝え続けることが求められます。

そして利用する側にも、急がされるほど慎重になるという、小さな習慣が必要なのだと思います。

便利さを広げることと、安心して利用できる環境を整えること。

この二つは、どちらか一方だけで成り立つものではないはずです。

### 最後に――急がせる知らせほど、急がない

還付金があると言われれば、早く受け取りたくなる。

未納税金があると言われれば、早く解決したくなる。

どちらも、ごく自然な気持ちです。

けれども、その気持ちを利用しようとする人がいる以上、私たちは少しだけ立ち止まる習慣を持っていたいものです。

メールを開くのは一瞬。

リンクを押すのも一瞬。

そのわずかな時間の前に、「これは本当に正しい知らせだろうか」と考える余裕があれば、防げる被害もあるでしょう。

本物の行政手続きなら、怪しいメールのリンクを使わなくても確認できるはずです。

急がせる言葉に出会ったときほど、急がない。

そんな当たり前のようで難しい習慣が、これからのデジタル社会では、私たちの暮らしを守る大切な知恵になっていくのかもしれません。

今回のニュースでは、国税庁の名前が詐欺に悪用されていました。

けれども、私たちは本物の国税庁や税務署について、どれほど知っているでしょうか。

税金を集めるだけでなく、相談窓口や税務調査など、そこで働く人々にもさまざまな仕事があります。

そんな税務署の内側を知る一冊として、『税務署員うつうつ日記』という本があります。

詐欺メールの話題をきっかけに、本物の税務署の世界を少しのぞいてみるのも面白いかもしれません。

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