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4600万円もする高級腕時計が盗まれた。
ところが数日後、その時計が宅配便で店に戻ってきたというのです。
しかも、荷物には謝罪の言葉が書かれたメモまで添えられていました。
盗まれた品物が返ってきたことは、店にとってひとまず安心できる知らせだったでしょう。しかし、この出来事には何とも不思議な後味が残ります。
なぜ盗んだ時計を返したのでしょうか。そして、品物を返せば、事件はそれで終わるのでしょうか。
東京・中野ブロードウェイで起きた高級腕時計の窃盗事件から、そんなことを考えてみました。
試着したまま逃走した4600万円の腕時計
事件が起きたのは、2026年10月29日の夜です。
東京都中野区の商業施設「中野ブロードウェイ」にある時計店で、客を装った人物が高級腕時計の試着を希望しました。
店員から時計を受け取った人物は、そのまま腕に着けて店外へ逃走したと報じられています。
盗まれたのは、スイスの高級時計ブランド「オーデマ・ピゲ」の腕時計で、被害額は約4600万円。
一般的な住宅の購入資金にも匹敵するような金額です。
事件当時、店内には従業員が2人いましたが、けが人はいなかったと報じられています。
警視庁は窃盗事件として捜査を始めました。
突然届いた宅配便と謝罪のメモ
事件から3日後の11月1日午前、思いがけないことが起こります。
被害に遭った店舗へ、宅配便で腕時計が送られてきたのです。
捜査関係者への取材によると、荷物は愛知県内から発送されたとみられ、時計のシリアルナンバーは盗まれたものと一致しました。
さらに、荷物には「すみませんでした」という趣旨の謝罪のメモが添えられていたといいます。
時計には目立った破損も確認されていないと報じられています。
警視庁は、発送した人物の特定を進めています。
ただし、現時点で分かっているのは、盗まれた時計が返却されたという事実です。
盗んだ人物自身が送ったのか、なぜ返却したのか、謝罪のメモを書いたのは誰なのか。こうした点は、まだ明らかになっていません。
なぜ返したのか。考えられる理由はいくつもある
このニュースを見て、最初に気になるのは返却の理由ではないでしょうか。
4600万円という高額な時計ですから、売却が難しいと判断した可能性を考える人もいるでしょう。
時計の識別番号から盗品だと判明することを恐れたのかもしれません。
あるいは、事件が大きく報道され、怖くなったということも考えられます。
しかし、これらはあくまで推測です。
報道から返却の動機を確定することはできません。
ここで気をつけたいのは、謝罪のメモがあったというだけで、犯人が反省したと決めつけないことです。
反省して返したのか、それとも別の事情があったのか。
その違いは、捜査によって明らかにされるべきことなのでしょう。
盗んだものを返せば、罪はなくなるのか
もう一つ気になるのは、盗品が戻ってきた場合の扱いです。
一般論として、窃盗は他人の財物を不法に自分のものにする意思で持ち去る犯罪です。
その後で品物を返したとしても、成立した犯罪が自動的になくなるわけではありません。
もちろん、被害品が返還されたことや、本人が反省していることなどは、事件の処理や刑事責任の判断において考慮される場合があります。
しかし、それは「返せば無罪になる」という意味ではありません。
また、品物が無事に戻ってきても、店が受けた被害がすべて消えるとは限りません。
事件への対応、警察への説明、防犯対策の見直し、従業員の精神的な負担など、目に見えにくい影響も残るからです。
今回の事件について、誰にどのような法的責任が生じるのかは、今後の捜査によって判断されることになります。
同じ施設では8月にも高額な時計の窃盗事件
中野ブロードウェイでは、今回が初めての高額時計窃盗事件というわけではありません。
2026年8月25日にも、別の時計店で高級腕時計4本、合計約2億円相当が盗まれる事件が起きています。
この事件では容疑者2人が逮捕され、その後起訴されたと報じられました。
今回の事件を受け、施設周辺の時計店では防犯対策の重要性が改めて注目されています。
ただし、8月の事件と今回の事件に関係があると確認されたわけではありません。
別々の事件として考える必要があります。
高額な商品を扱う店にとって、商品を手に取ってもらうことは商売の基本です。
一方で、試着という普通の接客が、そのまま持ち逃げにつながってしまう危険もあります。
商品を自由に見てもらうことと、防犯を徹底すること。
店にとっては、両立の難しい課題なのかもしれません。
返ってきたのは時計だけなのか
今回の出来事は、どこか奇妙な物語のようにも感じられます。
4600万円の時計が盗まれ、数日後に宅配便で戻ってくる。
しかも、謝罪のメモまで添えられている。
けれども、これは実際に起きた窃盗事件です。
店の人たちは、時計が戻ってきたことで安心した部分もあるでしょう。それでも、事件が起きたという事実や、再び同じことが起こるかもしれないという不安まで消えるとは限りません。
私たちは、盗まれたものが返ってくると、つい「よかった」と思います。
もちろん、品物が戻ることは大切です。
しかし、失われた信頼や安心は、宅配便の箱に入れて返すことができません。
今回の事件で誰が時計を送り返したのか、どのような事情があったのかは、今後の捜査を待つ必要があります。
小さな謝罪のメモが添えられた荷物。
その中に戻ってきたのは、4600万円の腕時計でした。
けれども、事件の前と同じ日常まで戻ってきたのかどうか。
それは、また別の話なのだと思います。
参考資料
TBS NEWS DIG:高級腕時計が宅配便で返却(2026年11月2日)
今回の事件では、盗まれた高級腕時計が無事に戻ってきました。4600万円という金額には驚かされますが、値段にかかわらず、愛用している時計は大切にしたいものです。普段の保管や持ち運びに役立つ腕時計ケースにも、少し目を向けてみてはいかがでしょうか。


