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では、そもそも日本では、なぜ総理大臣を国民が直接選べないのだろう。
それは、日本が「議院内閣制」を採っているからだ。国民が選んだ国会議員が首相を指名し、内閣は国会に責任を負う。国民の意思を国会を通じて政治に反映させる仕組みなのである。
この制度では、首相と国会の多数派が協力できれば、政策を進めやすい。一方で、選挙で期待した人物とは違う人が総理大臣になることもある。政党間の交渉や党内の事情で首相が決まり、国民には選び方が見えにくい面もある。
「それなら、総理大臣も直接選べばいい」。そう考える人もいるだろう。国民の投票で首相を決める考え方を「首相公選制」という。自分の一票で国のリーダーを選べるのは、わかりやすい。誰に政治を任せたのかも明確になる。
しかし、直接選ばれた首相と国会の多数派が対立したらどうだろう。法律や予算を巡って話が進まなくなるかもしれない。国民に選ばれた首相であっても、国会との協力は欠かせない。
そもそも日本国憲法は、首相を国会が指名すると定めている。国民による直接選挙へ変えるには憲法改正が必要で、首相と国会との関係も改めて設計しなければならない。
大切なのは、直接選ぶかどうかだけではない。私たちが選んだ国会議員は、誰を首相に推し、どんな政治を支え、その結果にどう責任を持つのか。
総理大臣の名前を投票用紙に書くことはできない。それでも、私たちの一票は、その名前が決まる場所へ確かにつながっている。
日本でも、国民が総理大臣を直接選ぶ制度が検討されたことがあります。『首相公選を考える』は、その可能性と問題点を憲法や政治制度の視点から考察した一冊です。現在の議院内閣制と何が違うのか、もう少し深く考えてみたい方に。


