日本人がやりたがらない仕事を、なぜ外国人ならやってくれると思うのか――外国人労働者に頼る日本の矛盾

日本人がやりたがらない仕事を、なぜ外国人ならやってくれると思うのか――外国人労働者に頼る日本の矛盾 政治
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「外国人がいなければ、介護の仕事が回らない」

SNSで、そんな主張を見かけた。

確かに、日本の介護現場が深刻な人手不足に直面していることは事実だ。

しかし、その言葉に対して、ある外国人ユーザーが投げかけたという反論が気になった。

「日本人もやりたがらない仕事を、外国人だってやりたがらない」

私は、この言葉を読んで、まったくそのとおりではないかと思った。

そもそも、日本人が働きたがらない理由は何なのだろう。

賃金が低いからなのか。仕事が厳しいからなのか。責任が重いわりに待遇が見合っていないからなのか。

もし、そうした理由で人が集まらないのであれば、まず改善すべきなのは労働条件ではないだろうか。

ところが、人手不足という話になると、外国人労働者の受け入れを拡大するという解決策が登場する。

ここに、私はどうしても違和感を覚える。

日本人が敬遠する仕事でも、外国人なら喜んで働いてくれるとでも思っているのだろうか。

外国人にも、それぞれの人生がある。家族があり、将来の希望があり、少しでもよい条件で働きたいと考えるのは当然だ。

日本人が嫌がる条件を、外国人だから受け入れてくれるはずだと期待するのであれば、その考え方自体を見直す必要があると思う。

実際、日本の介護人材不足は深刻だ。

厚生労働省が2024年に公表した推計では、2040年度に必要となる介護職員は約272万人。2022年度の約215万人と比べて、およそ57万人多い。

2025年度の介護労働実態調査でも、65.8%の事業所が人手不足を感じている。

これは簡単に解決できる問題ではない。

しかし、だからこそ考えてほしい。

人が足りないから外国人を呼ぶ。それだけで、本当に問題は解決するのだろうか。

仮に海外から人材を確保できたとしても、賃金が低く、休みが取りにくく、身体的にも精神的にも負担の大きい職場であれば、長く働いてもらうことは難しいだろう。

日本人が辞める職場なら、外国人も辞める可能性がある。

国籍が違っても、働く人間であることに変わりはないのだから。

もちろん、外国人労働者を安く雇うことが制度上認められているわけではない。

特定技能制度では、同じ仕事に従事する日本人と同等以上の報酬を支払うことが求められている。外国人であることを理由に待遇を差別してはいけないというルールもある。

だが、ここで一つ疑問が残る。

そもそも日本人の賃金水準が十分でない場合、外国人に同じ賃金を支払えば、それで問題が解決するのだろうか。

日本人にも外国人にも厳しい労働条件が続いているのであれば、制度上の平等だけでは足りない。

改善しなければならないのは、仕事そのものの待遇ではないか。

介護の仕事は、決して社会的価値の低い仕事ではない。

高齢者の生活を支え、家族の負担を軽くし、人間の尊厳を守る大切な仕事だ。

それなのに、働く人が十分に集まらない。

私は、ここに日本社会の大きな矛盾を感じる。

社会にとって必要不可欠な仕事なのに、その仕事を担う人が安心して生活できる条件を整えられない。

そして、その不足を外国人材の受け入れによって補おうとする。

それでは、いつまでたっても根本的な問題が残るのではないだろうか。

政府も何もしていないわけではない。介護職員の処遇改善や離職防止、生産性向上などの対策を進めている。

それでも人手不足が続いている以上、現在の対策で十分なのか、検証する必要がある。

私は、外国人が日本で働くことそのものを問題にしたいわけではない。

日本の介護現場で一生懸命働いている外国人を否定するつもりもない。

むしろ、問題にしたいのは、その人たちをどういう考え方で受け入れようとしているのかという点だ。

人手が足りないから、海外から連れてくればいい。

もし政策の根底にそんな安易な発想があるのなら、それは日本人労働者に対しても、外国人労働者に対しても失礼な話ではないだろうか。

外国人材の受け入れ拡大を当然の前提とするのではなく、いったん立ち止まって考えるべきではないか。

なぜ日本人が集まらないのか。どうすれば働きたいと思える職場になるのか。賃金を上げるための財源をどう確保するのか。

外国人を受け入れるにしても、その答えを曖昧にしたまま進めてよいとは思えない。

そして、外国人材の受け入れを縮小するのであれば、介護サービスを必要とする人々の生活をどう守るのかという問題にも向き合わなければならない。

これは単純な賛成か反対かで済ませられる話ではない。

だからこそ、外国人の受け入れ人数ばかりを議論するのではなく、国内の介護職場をどう立て直すのかを、もっと真剣に議論してほしい。

今回、私が最も疑問に感じたのは、外国人労働者の存在ではない。

日本人が働きたがらないような条件を残したまま、外国人なら働いてくれると期待する、その発想である。

人手不足を埋めることだけが目的になってはいけない。

日本人であろうと外国人であろうと、働く人がきちんと報われる社会を作ること。

本来、政治が最初に考えるべきなのは、そこではないだろうか。

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